遠寿院

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奉納農場 新聞掲載

奉納農場とは?

遠壽院の檀家・信徒さん・サポーター、畑仕事を体験したい子供達などによって、来年の荒行僧へ奉納する作物が育てられています。

平成22年4月22日(木)仏教タイムズ

修行僧のための安全野菜作り

千葉 日蓮宗遠寿院

仏教タイムズ
 千葉県市川市の日蓮宗遠寿院(戸田日晨住職)。毎年11月1日から寒一百日行われる荒行の寺院として知られる。

 3年前から壇信徒や地域の子どもたちが、加行する修行僧のために、安心・安全な野菜を栽培し提供している。そればかりではない。

 野菜作りは地域の人々との絆を再生させてもいる。遠寿院の取り組みを取材した。

 桜が開花し始めた3月最後の日曜日。朝から続々と野菜作りをする仲間が集まってきた。同寺から車で10分の場所に「奉納農園」と名付けられた畑がある。


夏以降の収穫に向け、じゃがいもの種芋を畑に植えるため、壇信徒や学童保育の関係者、そして子どもたちが、農作業に精を出している。寒風の中、バケツに入れた堆肥を勢いよくバラ撒いていく。とても気持ちが良さそうだ。一通り撒き終えた後は、耕運機で混ぜ返し、堆肥を畑に馴染ませる。仕上げは鍬で種芋を植える窪みを作る。耕運機が耕した土は、フワっとした感触で、じゃがいもが眠る土のベッドだ。再び畑に足を踏み入れた子どもたちは、踏み固めないように気をつけながらも、土の感触に自然と笑みがこぼれた。

きっかけは一泊修行

 きっかけは5年前。同寺で行った地域の子どもを対象とした一泊修行だった。参加者が集まる懇親会の場で、元々農家だった檀家総代の平野學さん(平野学園・西船幼稚園理事長)から「使っていない農地があるが、農業に興味がある人はいないか」と話題にした。新聞販売店を経営し、地元に広いネットワークを持つ石崎寛司さんや一泊修行に参加した学童保育のグループが手を挙げた。寺院での行事が人と人を結びつけたのだ。当時の「奉納農園」は、まだ手つかずの状態。まさに一からのスタートだった。平野さんの指導の下、石崎さんがリーダーとなって、畑作りが始まった。

農業通じ修行僧と地域に絆

 大人も子どもも一緒になって石拾いから作業した。次第に仲間が増え、少しずつ畑らしくなったが、畑の広さは400坪以上。苦労は絶えなかった。平野さんは「大きなものから小さなものまで、石が山ほどあった。半端じゃない苦労があったと思う。みんなの力でこれだけの畑になった。今はなんとも言えない気分」と振り返る。さらに参加者は自発的に、農具を置く倉庫や休憩できる小屋も建てた。種芋は荒行堂の奉賛会が提供するが、肥料や差し入れを含め、参加者がボランティアで畑作りに関わっている。その苦労が実り、一年目の収穫は格別だったという。ところが2年目は散々だった。石崎さんは「天候不順のため不作。自然を相手にする農業の難しさを知った」と苦笑い。しかし、あきらめなかった。毎週草取りなどの手入れを欠かさず、収穫のタイミングを工夫し、昨年は豊作。想像以上の大収穫を得た。今では年に数回、じゃがいも、薩摩芋、里芋などを収穫するまでになった。

入行中に合わせ奉納祭

 同寺では、毎年12月上旬に修行僧の入行中に合わせ、奉納祭を営む。50人ほどが集まり、収穫した野菜を奉納する。境内で餅つきをして、収穫した材料で芋煮を作り収穫を祝っている。

安心・安全な野菜提供

子どもや住民らが参加
農業通じた”食育”にも

 修行僧の食事はお粥が中心のため、信徒や子どもたちが丹精をこめて作った野菜は、安心・安全な食材として、行を乗り切るための貴重な栄養分だ。奉納祭では、修行僧が感謝の意をこめて祈祷する。奉納祭を通じ、行僧も自坊以外の周りの人にも支えられ、自分たちの行が成り立っていると実感するという。

 「僧侶が袈裟や衣を着て、神聖視されるだけではない。僧侶は驕らず、感謝を忘れてはならない。信徒が作る野菜はお金で買えない価値があるのです」と戸田住職。「奉納農園」は信徒や地域の人々と修行僧をつなぐ絆となった。一方で寺と信徒、学童や地域の人々をつなぐ別の面も合わせ持っている。

 農業を通じた子どもの食育にも一役買っていた。平野さんは「みんなで苦労して作物を育てることで、子どもたちの物を大切にする気持ちを養うことにも役立っている」と話す。参加者からは「子どもたちが土に触れられる貴重な場」という声も。農園に様々な人の知恵や思いが加わり、地域のつながりを深めているようだ。

「山も川も寺も人も、全てつながっている」
戸田住職は、献身的に働く子どもたちを見て、そうつぶやいた。修行僧のために始まった野菜作りは、多数の縁を結び続けている。


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平成22年5月8日(土)中外日報

行僧の野菜、信徒が栽培

日蓮宗遠壽院 地域の交流も育てる

荒行僧の食料を信徒の手で・・・。

中外日報 寒一百日の荒行で知られる日蓮宗遠壽院(戸田日晨住職、千葉県市川市)は、五年前に信徒から土地が無料貸与され、荒行中の食料の一部を栽培している。土作りから始めた畑作はまだ試行錯誤の連続だが、修行者の体に配慮して農薬をほとんど使わない野菜を育てている。ここでの農作業をきっかけに、これまで寺院に縁のなかった人たちが山門をくぐるようになった。若いファミリーが家族連れで農作業に汗を流し、地域の輪も育ってきている。

 農地は五年前、檀家総代の平野学さんから提供された。平野さんはもともと農家だが、作付けしていない土地があった。これを荒行僧のための畑にしてはという話が持ち上がり、無料貸与までトントン拍子で決まった。農地は約四百坪。遠壽院からは車で約十分。
「奉納農園」と称して畑作りが始められた。

中外日報 作業は基本的に月一度。二十数人が午前中から集まって農作業に汗を流す。これまで畑として使われていなかった土は石が交じっており、石も大変な作業だ。中には毎週仕事が休みの日に来ては、草取りや石拾いをする人もいる。用具倉庫と休憩小屋も、参加者の手で自発的に建てられた。

 農作業には子どももたくさん参加している。NPO法人アフタースクール(桑野秀男理事長)に通うこどもたちだ。アフタースクールでは、忙しい親に代わって放課後の保育をする。ここに子供を通わせる親が、休日に親子の触れ合いを兼ねて農作業を楽しんでいる。

 「今の子は心の支えを失っている」と危機感を抱く桑野さんの目にも、お寺の農作業は子どもにプラスと映るようだ。「どの宗教でも命の大切さは共通。お互いの存在を尊重する精神を宗教が教えてくれるはず。人間に共通する宗教的理念を学校の授業にも取り入れるべき」と話し、自ら積極的に農作業に加わる。

  作業は、お日様に向かって読経唱題から始まる。この時ばかりは走り回っていた子どもたちも神妙な顔つきで手を合わせる。そして荒行堂奉賛会事務局の石崎寛司さんがジャガイモを手に、野菜が育つのもお日様や水、空気のおかげだと説明し、子どもたちに命について考えるきっかけを与える。アフタースクールとの縁を取り持ったのも石崎さん。本業の新聞販売店で培った人脈を生かし、奉納農園を軌道に乗せた立役者だ。

 作付けをしているのは主に芋類で、今は種植えの時期。みんなで鍬を振るって溝を掘り、種芋を植えている。土地を提供した平野さん以外は、皆農業の素人。溝がゆがんだりするのもご愛敬。農薬はほとんど使っていない。安全な食材を作りたいという考えはもちろんだが、「子どもが安全に遊べる所に」(石崎さん)との思いもある。

 耕して軟らかくなった土に埋もれながら作業する子どもたちは、すぐに土の入った靴を脱いで裸足になる。鍬を振るうのが難しい小さな子どもたちは、石拾いが作業の中心。しばらくすると飽きて走り出す子が出てくる。畑の隅では落とし穴を掘っている子もいる。走り回る子に「芽を踏んでるよ!」と叱る石崎さんの目はあくまで優しい。

 「信徒さんの作業で育てられ奉納された野菜には、買ってきたものにはない重みがある。僧侶は信徒の支えで修行ができる。感謝の気持を荒行僧にもっと伝えていきたい」と戸田住職。いずれは荒行僧を一緒に農作業に参加させることも考えている。

 遠壽院では秋に収穫祭を営み自然に感謝を捧げ、荒行期間中には奉納祭を奉行する。合わせて芋煮会を開いて壇信徒との交流も深めている。この地域には地方から出てきた人も多い。都会で寺院に縁のなかった人が、農作業を通じて仏縁を結んでいる。


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